バケバケ2
兄はどこかおかしかった。
恋愛に興味がないとか、そういうことではなくて、どこかおかしかったのだ。
何と表現したらいいのか分からないが、敢えて言うなら何かここにはないものをずっと見つめていたような。
私は今、何かの中にいる。
どうやら閉じ込められたようだ。
暗くはないが、狭い何かの中にいる。
兄は私をどうするつもりだろう。
外から、兄の声がかすかに聞こえた。
それから、もう1人。
女の人の声が聞こえた。
誰だろう。
私は、その女の人の声を知っている気がした。
どこかで聞いたことがある。
私はどこでこの声を…?
いつも聞こえていた。
そうだ、この声はいつも兄の近くから聞こえてきた。