バケバケ2
そういえば、私は一体何に閉じ込められているのだろう。
狭く、完全に身動きが取れない何かに直立の姿勢で閉じ込められている。
口は塞がれていないので、声は出せるみたいだ。
「お兄ちゃん!」
私はすぐ外にいると思われる兄に呼び掛けたが、兄からの返事はなかった。
兄が女の人と会話する声しか聞こえなかった。
声は出せるが外には聞こえないということだろうか。
私は何度も兄を呼んだが、兄が私に応えることはなかった。
しばらくして、兄と女の人の会話が途切れた。
そして、こちらに向かってくる足音。
「洋子。」
兄の声が間近で聞こえた。
「洋子、ごめんなさい。僕はあなたを選ぶことはできません。」
兄はそれだけ言った。
意味が分からなかった。
「僕の未来のために、世界のために死んでください。」
背筋が寒くなるのを感じた。
兄は本気だ。
何がこれから起きるのかは分からないが、これだけははっきりと分かった。
私は死ぬんだ。