バケバケ2
4.真実
4.真実
たぶんこの扉が最後だ。
この先に、時雨はいる。
息を整えて、俺は扉を開けた。
扉の向こうは、またよく知っている場所だった。
忘れる訳が無い、ここは時雨が梅雨さんを殺した場所。
中庭だ。
あの時のままだ。
正面にあるあの大きな木の下、あそこに梅雨さんは倒れていた。
今その場所に立っているのは…
「時雨…」
「遅いですよ、シイくん。」
俺は時雨を睨み付ける。
時雨は表情一つ変えずに穏やかな顔で俺を見ていた。
しかし、その目は鋭さを保ち、いつでも俺を殺せる眼差しをこちらに向けていた。
「シグ、どうしたの?」
時雨の後ろから女の人が顔を覗かせた。
「…つ、梅雨さん。」
少し大人になってはいるが、間違いなくこの女の人は梅雨さんだ。
梅雨さんは時雨の隣に並ぶと俺を見て微笑んだ。
「シイだ、久し振りね。」