バケバケ2
「僕は、梅雨を守れる力が欲しかっただけなんです。」
俺には、痛いほどに時雨の思いがわかる。
それは俺も同じだから。
いつも俺が感じていることだから。
「私はね、シイ…」
梅雨さんが口を開く。
「知っていたの、いつかそう遠くない未来に、きっと私の力じゃシグを守れなくなる。でも、シグならきっと自分自身を守ることができる。だから私は、シグをバケバケにすることにしたの。」
梅雨さんはやっぱり知っていたんだ。
エレジーが俺をバケバケにしたように、梅雨さんもまた大切な人を守るために時雨をバケバケにした。
人間にバケバケの力を与えれば、自らが命を落とすことを知りながら。