バケバケ2
「梅雨さん、お願いします…洋子を」
「じゃあシイは私に死ねというのね。」
「そんなんじゃ…」
「でも、あなたの言ってることってそういうことじゃない?」
梅雨さんのその言葉に、俺は何も言えなかった。
それが本当のことだったからだ。
今、俺が洋子を助け出せば、梅雨さんはこの世界とともに消え、2度目の死を迎えることになる。
「やっと私は、使命なんて関係なしにシグと一緒にいられるの。シイだって私の気持ちわかるでしょう?」
もし俺が梅雨さんの立場ならどうしていただろう。
俺も洋子と一緒にいたいと思った。
俺は洋子を守るために生まれて来たが、そんな使命なんて関係なしに、ただ洋子と一緒にいたいと思うようになった。
きっと梅雨さんも、理想の世界なんてそんなこと考えているんじゃなくて、ただ時雨と一緒にいたいだけなのだ。
俺がもし梅雨さんの立場なら同じことをしていただろう。
それでも…
「俺はこの世界を認める訳にはいかない。」
この世界が消えれば、梅雨さんは2度死に、エレジーやギンにももう会えない。
それでも、俺は洋子を守る。