バケバケ2





時雨の攻撃が一瞬だけ止まった。


チャンスだ!






俺は時雨に向かって鎌を振り下ろす。


時雨の表情が緩む。


「掛かりましたね。」


傘の先端が俺の腹部に突き刺さった。


凄まじい水圧と共に、俺は吹き飛ばされた。


俺が吹き飛ばされると同時に、時雨が駆け出す。


すぐに時雨は俺の目の前まで来ると、傘の先端を俺に突きつけた。


「もう終わりですか?」


時雨が表情一つ変えず俺に向かって傘を振りかざす。


再び傘が俺の身体に突き刺さる前に、俺は鎌を盾に身を守った。


鎌は割れて元の黒い粒子に戻り消えてしまった。







「武器、消えてしまいましたね。」


「…うるさい。」


俺は再び体の粒子化を始める。


「また粒子化ですか?痛みで体が壊れますよ。」


時雨の言う通り、俺の身体にはさっきの倍くらいの激痛が走った。


でも、こんなの洋子を失うことに比べたらなんてことない。






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