バケバケ2
悔しい。
「いいものを見せてあげます。」
時雨は俺の無理矢理立ち上がらせると、髪を掴んだまま、木の前まで来た。
時雨の手が俺から離れる。
「見てください。これが、世界を変えるんです。」
木の中の洋子はぐったりとしていた。
洋子の顔や手足など、至る所に根が張られている。
「洋子…」
「じきに、洋子はこの木と同化してこの世界は現実になるでしょう。」
「そんな…そんなの…」
「僕だって悲しいんですよ。たった1人の妹ですから。でも、それ以上に僕は梅雨が大切なんです。」
時雨の表情は暗くてよく見えなかった。
「僕たちの未来のため、死んでくれますよね?シイ君。」