バケバケ2
私たちはその後少し話をした後、食堂を出た。
「あ、早月くんだ。」
早月くんも私たちと同じ大学に進学していた。
早月くんは食堂の前のテニスコートで友人とテニスをしていた。
私たちに気がつき、手を振る早月くん。
私たちも振り返した。
「洋子、早月くんに告白されたんだって?」
「え?…えっと、うん。」
「噂で聞いたけど、振ったんでしょ?」
私が頷くと、莉子は不思議そうに首を傾げる。
「もったいないなー。いい人なのに、早月くん。何がいけなかったの?」
「何って…なんだろう。」
たしかに、早月くんはいい人だし…でも、何か違う。
「もしかして、昔の男引きずってんの?」
「昔の男…?」
「ほら、高3の春に転校してきた…洋子と仲良かったじゃない?」
「え…誰?」
「名前はたしか…桜木?下の名前は忘れちゃったけど、覚えてないの?」
「うん。」
「そっか、たしかあの人洋子が事故に遭ったのと同じ時期くらいから学校辞めていなくなっちゃったんだよね。」
「そうなんだ。」
全く思い出せない。