バケバケ2
2.一年
2.一年
あれから一年になるのか。
早いものだ。
あの後、時雨に振り下ろされた鎌は、梅雨さんの身体に深々と食い込んだ。
彼女は時雨を庇ったのだ。
彼女は最期に、時雨に何かを小声で話すと二度目の死を迎えた。
そして偽物の世界は消え、俺たちは元の世界に戻って来た。
洋子は意識を失ってはいたが、外傷はなかった。
俺の体は元の世界に戻ると同時に粒子化が解け、元の身体に戻っていたが、再び身体を粒子化させた。
粒子は剣の形を作り、俺の手に収まった。
「どうするつもりですか。」と、訊いた時雨の言葉に俺は何も返すことなく、眠る洋子に剣を突き付けた。
終わりにするつもりだった。
俺は静かに洋子の身体に剣を刺した。