バケバケ2
「どちら様ですか。」
ぼんやりと洋子の家を見つめていた俺は、突然声をかけられ驚いて声の方を向いた。
時間が止まる。
少し伸びた髪、服装や表情も大人びていたが、1年前と変わっていなかった。
洋子だ。
泣いてしまいそうだった。
情けない。
後悔はしていないつもりだったのに、俺はまだ洋子と一緒に生きる未来への未練を断ち切れてはいなかったのだ。
抱き締めたかった。
洋子は不思議そうに俺を見つめている。
当たり前だ、洋子から見たら俺は知らない奴なんだから。
知らない奴が自分の家の前で何をするでもなく立っている。
通報されたっておかしくない。