バケバケ2
エピローグ
エピローグ
私は忘れていた。
1番大切なのは、あなたと一緒にいることじゃなかったの。
あなたに生きてもらうことだったの。
あなたを最期まで守ることが出来て、私は幸せ。
あなたに会えて良かった。
愛してる。
それが彼女の最期の言葉でした。
僕は二度も彼女を助けることができなかったのです。
あれからもう1年になりますが、未だに僕は自分を責め続けています。
けれど、責めても彼女が僕の隣に戻るはずもなく、僕は余計に自分が独りであることを思い知らされるのです。
それでも、責めずにはいられない。
今、僕の生活は充実しています。
彼女の守ってくれた命ですから、彼女のためにも生きていこうと思うのです。
僕は罪を一生背負いながら、力を使う度に現れる痛みと共に生きて行くのでしょう。
さて、そろそろ時間です。
僕は読んでいた本を閉じ、上着を羽織りました。
靴を履き、玄関のドアを開けながら、誰もいない部屋に向かって呟きます。
「行って来ます。」
2014.9.3