バケバケ2
「それで、さっき言ってた姫っていうのは?」
灰音が本題を切り出した。
姫っていうからには人間なんだろうか?
つまりは人探し…?
「…姫は敷島の大事な存在っス。」
敷島は俯きがちに言った。
横顔がどこか寂しげだ。
「灰音先パイはアンティークショップ経営してるし…お客さんから姫の情報聞いてないっスか?」
「姫なんてきいたことないが…」
灰音が考え込んだ。
「うーん…」
「…先パイでも知らないっスか。」
敷島が悲しげな表情をする。
「悪いな、聞いたことがない。見た目は?」
「…赤いっス。」
「赤い?」
「赤くて、綺麗で…昨日まで敷島の部屋にいたっス。でも…朝起きたら無くなってたっス。」
「コンビニ行っただけじゃないのか?今もう部屋に戻ってるとか。」
「…姫はコンビニ行かないっス。姫は敷島の家から出たことなんてなかったし……」
「家から出たことなかった?」