バケバケ2
そして敷島は語り出した。
姫のことを。
今から遥か昔、ある小さな村に住む刀鍛冶が刀を造った。
―赤月姫(あかつきひめ)―
それがその刀の名前。
血に染まったように真っ赤な柄に金色の鍔がついた美しい刀だったそうだ。
ちょうど赤月姫が完成したころ、鍛冶屋のもとに1人の男が訪れる。
彼は鍛冶屋から赤月姫を奪うと、鍛冶屋を殺した。
それから、赤月姫の切れ味を確かめるように、その目に映った村人を全て殺した。
女も子供も…家畜でさえも。
やがて村は全滅する。
男は血が滴る刀身を見て満足そうに笑ったそうだ。
「……その赤月姫というのが姫のことっス。」
「…怖いな。でもこれだけじゃ呪いの刀にはならないんじゃ…」
「話はまだ続きがあるっス。」
男は村を去ろうとした。
ところが村を出ようとした瞬間に刀が光り始める。