バケバケ2
男は刀を落とす。
地面に当たる刀。
刀はさらに強い光を放つ。
男は眩しさに目を閉じてしまった。
そして次に男が目を開いた時、目の前にあったのは…
女だった。
男がこれまで見たどんな女より美しい。
女は泣いていた。
血のように真っ赤な涙を流し、赤月姫を構えながら。
「そこで…男は女に斬られ、話は終わってるっス。」
「ふーん。」
ここで、エレジーがお盆を持って応接室に戻って来た。
「外から聞こえたけど…その話、おかしくないかしら?」
敷島の前にカップを置きながらエレジーが言う。
「村人は全滅して、男は女に斬られた…じゃあどうしてそんな話が残ってるのかしら。」
たしかに。
誰も目撃者はいなくなったわけだ。
誰がこの話を現代まで伝えたのか。
「この話、敷島家にある古い本に書いてあるっス。この本、敷島家の先祖が書いたらしいっスが…」