バケバケ2
私は警戒しながらゆっくり後ろを見た。
「お兄ちゃん?」
声の主は私の実の兄だった。
東京の方の大学の医学部に通っており、今年こっちの大学院に行くらしく、3月の末に戻ってきた。
私の家の近くにアパートを借り、生活しているらしいが…
会うのは4年ぶりだ。
メールではよくやり取りしていたが。
兄は4年前とほとんど変わっていなかった。
栗色の毛に、縁なしの眼鏡をかけ、薄い水色のカーディガンを羽織っていた。
「やっぱり、洋子でしたか。」
兄は微笑む。
「今から実家に帰る予定だったんですよ。こんなところで会うとは…どうしました?」
私は兄に燕さんを見せた。
「!……ひどい怪我だ。どうしたんですか?」
「女の子が…突然私に斬りかかろうとして…燕さん、助けてくれて…それで、逃げたけど、私の後ろに女の子がいて…燕さんを…!」
兄は私の頭に手を置いた。
「落ち着きなさい、洋子。」
「お兄ちゃん…」