バケバケ2
鈍器で頭を殴られたような衝撃が俺の中を駆け巡る。
ー守る力なんかないくせに
「もうバケバケでもない、力もない、ただちょっと運動神経が人より高いだけのただの人間が、洋子さんを守れるとでも?」
「……。」
敷島の言う通りだった。
ずっと思ってたんだ。
バケバケの力を全て失ったあの時から。
俺はずっと疑問だった。
洋子を守れるのか。
「俺は…」
守れないかもしれない。
今年は約束の10年目。
アイツは必ず洋子を殺しにくる。
俺はアイツの手から洋子を守れる自信がない。
「洋子さんのところへ行って…それでもし、洋子さんが姫に襲われていたとして…」
敷島は感情を全く表に出さない声で続けた。
「シイさんどうするつもりなんスか。」