バケバケ2
最悪の事態が頭に浮かぶ。
10年前だってそう、半年前だってそう。
俺はいつだって洋子を危険な目に遭わせ、守ることができない。
バケバケの力をもってしても洋子を守れなかったのだから、ただの人間である今、洋子を守れるわけがなかった。
でも、守るしかない。
「俺は、ただ洋子が危険な目に合っているのを、見ているだけなんてできない。」
「どうしてっスか。」
「洋子が大事なんだ。」
「……」
「ずっと、守りたいと思ってる。」
「そうっスか。」
敷島の顔が少し笑ったような気がした。
「わかったら洋子探しに行くぞ。」
「はいっス。」
俺達は再び走り出した。