バケバケ2





私の前に誰か立っていた。


シイ…?


「洋子、大丈夫か?」


誰かが私の背を支えた。


「待ってろ、今止血するから。」


私の隣にはシイがいて、腕から流れる血をハンカチで押さえていた。


シイが隣にいるってことは…私の前にいるのは誰?


「姫、やっと見つけたっス。それが本来の姿っスか。」


私の前にいる、ガリガリに痩せた少年が、刀を持つ少女に問い掛ける。


「敷島…。父上の、仇…。」


少女は刀を構えた。


少年も刀を構える。


しかし、少年が持っていたのはどう見ても竹刀だった。







少女の刀が再び振りおろされる。


本物の刀に竹刀が勝てるわけない。


しかし、少年はそれを簡単に竹刀で受け止める。


そして少女の刀を勢いよく投げ飛ばした。


刀は円を描きながら宙を舞い、私とシイの近くの地面に突き刺さった。





一瞬の出来事だった。






「…っ!」






少女は刀目指して駆け出す。


それを少年が竹刀で制した。


「!」


少女は少年を睨み付けた。


「敷島…赦さない。」


「さぁ、帰るっスよ。姫。」















< 55 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop