バケバケ2
私の前に誰か立っていた。
シイ…?
「洋子、大丈夫か?」
誰かが私の背を支えた。
「待ってろ、今止血するから。」
私の隣にはシイがいて、腕から流れる血をハンカチで押さえていた。
シイが隣にいるってことは…私の前にいるのは誰?
「姫、やっと見つけたっス。それが本来の姿っスか。」
私の前にいる、ガリガリに痩せた少年が、刀を持つ少女に問い掛ける。
「敷島…。父上の、仇…。」
少女は刀を構えた。
少年も刀を構える。
しかし、少年が持っていたのはどう見ても竹刀だった。
少女の刀が再び振りおろされる。
本物の刀に竹刀が勝てるわけない。
しかし、少年はそれを簡単に竹刀で受け止める。
そして少女の刀を勢いよく投げ飛ばした。
刀は円を描きながら宙を舞い、私とシイの近くの地面に突き刺さった。
一瞬の出来事だった。
「…っ!」
少女は刀目指して駆け出す。
それを少年が竹刀で制した。
「!」
少女は少年を睨み付けた。
「敷島…赦さない。」
「さぁ、帰るっスよ。姫。」