バケバケ2
少女は舌打ちをし、項垂れた。
どうやら敗けを認めたようだった。
そして、少女の体が光り、少女は真っ赤な柄の刀の姿になり、地面に落ちた。
私とシイの近くに刺さっていた刀も光り、そして消えた。
「終わったのか?」
シイが尋ねると少年は頷いた。
「はいっス。」
刀を竹刀と一緒に布にくるむ少年。
「そうか。ありがとう。」
「いえいえっス。姫もこうして帰ってきたんスから。」
少年は刀の包まれた布をじっと見つめていた。
「シイ、この人は?」
「敷島 涼。洋子と同じ、力が強い人間だ。さっきの女は赤月姫っていうバケバケ。」
「赤月姫…?」
「よろしくっス、洋子さん。」
敷島がペコリと頭を下げた。
「うん。…」
聞きたいことは山ほどあった。
シイに聞こうと口を開きかけたときだった。
シイは唇の前で人差し指を立てた。
「あんま喋ったり動いたりするなよ、まだ完全に止血できてないから。」
シイは私の背中に片腕を回し、膝裏にもう片腕を回した。
そして軽々と私を持ち上げた。
「え、え?」
突然のことに戸惑う私。
「だから喋んなって。あとで教えてやるから。今は病院行くぞ。」
「大丈夫だから、私歩けるから。」
「うそつけよ、貧血でふらふらしてるくせに。」
「……」