バケバケ2
幸い、あいつの家はここから近かった。
燕が無事ならいいが、万が一のことがあったら…
大丈夫だ。
燕は強い。
俺よりもずっと……
俺の足は止まってしまった。
なんの力もない、ただの人間の俺が今いったところで燕を助けられるのか?
燕の方が俺よりも格段に強い。
きっと俺が行ったところで足手まといになるだけだ。
唇を噛む。
悔しい、俺には何もできない。
敷島の言う通りだ。
こんなんじゃ、洋子を守ることなんて…
「シイ。」
下の方から突然声がした。
「やはりシイではないか。」
驚いて下をみると、藤色の着物を着た少女が俺の方を見上げていた。
「久しいな、こんなところでなにをしているのだ。」
少女は首を傾げる。
「ステ神…」
「おい、私は神であるぞ。様をつけろ!」