バケバケ2
この少女はステ神。
捨山神社の神様だ。
洋子と同様、バケバケを引き寄せる強い力を持っていた洋子の祖父、昭人さんの友人であり、過去に俺に洋子を守るための力をくれた。
「どうしたのだ、浮かない顔をして。」
ステ神は怪訝そうな顔をする。
そうか、この人なら…
俺に力をくれたこの人なら、俺の力を戻すことができるかもしれない。
俺はステ神に事情を話すことにした。
ステ神は俺の話を静かに聞いていた。
そして俺が全て話終えるのを待つと口を開いた。
「シイよ、率直に言おう。」
「……。」
「無理だ。」
「え……」
…無理?
「前にも言ったであろう。ボクにはもうシイに与えられる力は残っていない。」
ステ神が目を伏せる。
「役に立てなくてすまない。」
ステ神は申し訳なさそうに頭を下げた。
「いや、いいんだ。他の方法を検討してみるよ。」
「そうか…」
俺はステ神と別れ、一人あいつの家までの道を再び歩き始めた。