バケバケ2
力の強い人間を殺せば、その力を手に入れることができる。
そのせいで、洋子はたくさんのバケバケに狙われてきたわけだが、これは時雨にも当然適応されていた。
時雨も毎日のようにバケバケに狙われていたのだ。
その時雨に群がるバケバケたちを退治していたのが梅雨さんだった。
梅雨さんはちょうど時雨と同じ年くらいだったことから時雨の護衛に選ばれたのだった。
「シグはとても強いから、私なんかいなくても全然大丈夫だけどね。」
そう言って梅雨さんは笑った。
時雨は洋子と違い、生まれつきバケバケが見えていた。
だから当然梅雨さんのことも見えており、梅雨さんは時雨のことをシグと呼んで友達のように接していた。
「今日もね、どこからかシグを狙いにきたバケバケが現れたの。でも、私がシグを助ける前にシグがそのバケバケを退治しちゃったわ。」
時雨のことを話すときの梅雨さんは本当に楽しそうだった。
「ごちそうさま。」
隣のギンが箸をおいた。
「あら、もういいの?」
「うん、もうお腹いっぱいだから。」
ギンが食器を持って席を立つ。
「ギン、ちゃんと食べないとチビのままだぞ。」
「…なっ、チビじゃないもん!シイのばか!!!」
ギンは頬を膨らませながら部屋を出ていった。