バケバケ2
「それよりキリ、お前交代の時間だろ。早く昭仁さんのところ行け。」
「あの人なら俺なんかいなくたって平気だろ。」
「護衛がお前の仕事だろうが。いいから早く行け。」
「わーったよ!」
口を尖らせながらキリさんが部屋を出ていった。
部屋には俺と兄貴だけが残された。
「……」
兄貴は何か言いたげに俺を見ていた。
そして躊躇うように視線を床に落とした。
俺はとりあえず寝る支度を始めた。
「珍しいですね、兄貴が深夜番じゃないなんて。」
「あぁ、今日はキリに代わってやったんだ。あいつ一回も深夜番やったことねーし。」
普段昭仁さんの深夜の護衛は兄貴がやっていた。
「シイ…」
「なんですか?」
「お前さ、洋子ちゃんのこと好きだろ。」
「……」
「……」
「え?」
「え、じゃなくて。好きか聞いてるんだけど。」
「え、いや…なんでそんな急に…?」
「そらなら、今から俺が話すこと理解できるかなと思って。」
「はぁ…」