バケバケ2
「梅雨への恋心だって。」
「…?両想いじゃないですか、それならなんの問題もなさそうですが。」
「そうか、お前はまだ時雨のことあまり知らないんだな。」
「え?」
「あいつは誰かに恋心なんて抱くわけがない。梅雨の自分への気持ちを知っていて、それを利用しようとしてるんだ。」
さっきのギンの話を思い出した。
時雨…
洋子の兄で、洋子同様強い力を持ち、バケバケを見ることができる…
それくらいしか知らなかった。
「あいつは人間なんかじゃない。人間のふりをしたバケモノだよ。」
「バケモノ…」
「梅雨は喜んでたよ、時雨のパートナーになるんだって。」
「…」
「俺は絶対反対だ。このままだと梅雨は利用される。梅雨の悲しむ顔なんてお前も見たくないだろ。」
梅雨さんの顔が浮かんだ。
いつも笑顔で、優しくて、みんなのお姉さん的存在で。
人がよく、いろんな人に好かれる、太陽のような女の人。
「その、梅雨さんとの契約が行われるのっていつ、なんですか。」
「わからない。でも、今週中には始めると思う。シイ、お前ならわかるだろ。好きな人が危険な目に遇おうとしている。俺は…止めなきゃいけない。」
「はい。」
「シイは強い。それはずっとルームメートとして過ごしてきた俺がよく知ってる。協力してくれないか?」
「もちろんです。」