バケバケ2




「待って。」


私はシイのカバンを掴んだ。


「なに?早く帰ろうよ。」


「そうじゃなくて…何か言うことあるでしょ。」


シイは少し考えて思いついたように言った。


「昼飯どこに食べに行く?」


「…だからそうじゃなくて。」


「?」


「なんでシイがここにいるの?」


「ん?…あぁ…」


シイはカバンの外ポケットからカードを取り出して私に見せた。


「……これ…学生証?」


「あぁ。俺この高校の生徒。」



……え…


「洋子のお母さんがさ、人間になったなら高校通っとけって。だから通わせて貰うことにした。」


「そんな気軽に?」


私の母ならやりかねないな…


でもたしかに高校に通うのはいいかもしれない。


シイは人間になったばかりだし、人間のルールも学ばなきゃいけないし。


けど…不安だ。


いきなり高校に入学なんて…


もう少し慣れてからの方がいいんじゃ…




< 9 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop