君を愛す ただ君を……Ⅱ
母譲りの病気
『もう一度、詳しい検査をするべきだと思うよ。できれば君のお父さんの病院で……』

 やっぱり。そうじゃないかと思ってた。

 ママがそうだったから、私か弟に引き継がれてるってある程度わかってた。

 弟は小さい頃から陸上をやってて、発作らしきものが無かったから……きっと私なんだろうってうすうす勘付いていたし、覚悟も決めてた。

 でも。

 パパの病院に行く勇気はないよ。

 パパが専門なのは知ってるし、その筋では一流で一目をおかれている存在なのもわかってる。

 だからこそ言いたくない。

 心配をかけさせたくないよ。

 パパが、ママとのことですんごい大変な思いをしてきたのをおじいちゃんから聞いてる。

 もうこれ以上、パパを不安がらせたくなんてない。

 私は検査結果の用紙を、鞄に捻じ込むと顔をあげて歩き出した。

 言わない。そうよ、言わなければきっとバレない。

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