君を愛す ただ君を……Ⅱ
「私、実は昨日……病院で」

「彩、こんなところに居たの? ここ立ち入り禁止の札がかかってるじゃない。バレたらやばいって」

 女性の声に、私はびくっと肩が跳ね上がった。

 彩樹が振り返った先には、陸上部のマネである綾瀬先輩が立っていた。

 スッと、彩樹の手がフェンスから離れる。

「綾瀬、なんでここに?」

「下級生に告白されてたの? そんなに密着してたら、その子、勘違いしちゃうじゃない」

 綾瀬先輩がニコッと微笑んで、彩樹の腕に絡みついた。

『私という彼女がいるのに』と言わんばかりの表情だ。

 私は彩樹と綾瀬先輩にペコっと頭をさげると、小走りで離れた。

「愛、待っ……」

「それより部活のことなんだけど」

 彩樹の言葉に掻き消すように、綾瀬先輩の声が後ろで聞こえた。

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