君を愛す ただ君を……Ⅱ
 念を押して欲しくないよ。

 もしかしたら私には未来はないかもしれない。

 それなら確実に未来がある女性と、彩樹は一緒になるべきなんだと思う。

 わかってる。しゃしゃり出たりなんてしない。




「姉ちゃんもそういうの読むんだぁ」

 風呂上がりの愁斗が、私の携帯を覗きこんできた。

 私はいま、携帯小説を読んでいる。

 たまたま登録したサイトの一位だった作品を、ダラダラと読んでいた。

「気分転換にね」

 私は携帯の文章を読み進めていく。

 小説の中は、羨ましい限りの世界だ。

 格好良くて、友人にも恵まれ、女子にモテる男子が、そこらへんにいる女子にぞっこんになるストーリー。

 羨ましすぎるよ。

 私も彩樹と……なんて想像してたくなる。

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