君を愛す ただ君を……Ⅱ
 ここ二週間、彩樹とは極力合わないようにした。

 少しでも隙が出来たら、屋上での続きを聞かれそうな気がして、つい避けてしまう。

 このままじゃいけないのは、わかってる。

 ずっと避けていくなんて……。

 今まで通りの接し方をしなくちゃって思うのに、また屋上での話が出たら、どうしようって思うと、緊張してその場から逃げだしてしまう。

 どうしたらいいんだろう。

 私は教室の机に顔を伏せると、目を閉じた。

 普通に接しようと何度も頭ではシュミレーションを繰り返し、脳内では上手にできるのに。

 毎晩、愁斗を送ってきてくれる彩樹を見ると、シュミレーション効果が全く役に立たなくなる。

 私は遠くのほうで、女子の悲鳴が聞こえるのを感じながら、また今夜のシュミレーションを始めた。

「……い、愛」

 低い声に呼ばれて、ハッとして私は顔をあげた。

 目の前には、制服を着ている彩樹が立っていた。

 嘘、なんで?

 私はまわりを見渡してから、彩樹の顔を見上げた。

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