君を愛す ただ君を……Ⅱ
 私はパパと別れると、彩樹をチラチラと見ながら、隅っこの椅子に座った。

 なんだかあの輪の中には、入れそうにない。綾樹はどこに行っても、モテるんだなあって実感する。

 学校でも、全学年のアイドルだし。病院に来れば、看護師さんたちのアイドルになってる。

 おばさん、凄く綺麗な人だったから、その血を受け継いでるんだろうなあ。

 整った顔立ちに、陸上で鍛えた筋肉美な身体。どこをとっても、百点満点だもんね。

 パパもきっと若いころはモテてたんだろうけど、きっと彩樹には負けると思う。

 パパはずっとママに惚れてて、他の女性に興味が無かったから、浮気の心配なんて無かったんだろうなあ。

 彩樹はどうなんだろう。誰かを愛したら、ずっとその人のことを好きでいるのかな?

 私は視線を外来の受付にすると、横から聞こえてくる看護師の甲高い声に耳に傾けていた。

< 40 / 56 >

この作品をシェア

pagetop