君を愛す ただ君を……Ⅱ
『軽部先生の息子さんなの?』
『格好良いねえ。彼女は?』
『今度、看護師集めて合コンしない? もちろんお母さんには内緒で』


 看護師たちの甘い声が聞こえる中、私はふうっと息を吐く。

 検査の結果、手術になったらどうしよう。傷口が一生残るっていうのも嫌だけど、手術中に死んじゃうってことはあるのかな?

 ママはどうして、手術する気になったんだろう。

 私は怖くて、手術するなんて考えられないよ。

「何でそんな端っこ座ってるの?」

「あ…、うん」

 看護師との話が終わったのだろうか。考え事をしていた私の隣に、いつのまにか彩樹が腰をおろしていた。

 彩樹は長い足を通路側に出して、組んでいる。

「おじさん、何だって?」

「検査予約入れておくって」

「検査はいつ? 来週」

「ん。わかった」

 彩樹がポケットに手を入れて、天井を見上げた。

 
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