君を愛す ただ君を……Ⅱ
「愛っ!」

 背後で、彩樹の大声が聞こえる。

 もうっ。彩樹はわかってないんだから。自分がどれだけ、女子に注目されているか……気づきなさいよ。

 絶対に、綾瀬先輩に誤解されてる。

 彩樹が「愛」なんて大声で呼んだら、恋人同士だって勝手に勘違いされちゃうじゃない。

 それで睨まれるのは、私なのに…。

「愛、待てよ」

 校門の手前で、彩樹に通路を塞がれた。

 陸上部の足に、私の早歩きが通用するわけないけど。まさか追いかけてくるなんて。

「彩樹、まずいってば。部活に戻りなよ」

「なんで? 検査結果を知りたい」

「だから、今夜話すってば」

「なら、今教えてくれてもいいだろ」

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