君を愛す ただ君を……Ⅱ
 瑞希ちゃんが私から離れると、にっこりと笑う。

「あれは……そんなんじゃ」

 ないよ、きっと。

「いやいや。そうでしょ。『俺の気持ちを察しろ』ってまさしく、好きだってわかれよっていう意味じゃない。うひゃー、我らのヒーローは大胆だね」

 瑞希ちゃんが興奮で何度もジャンプをする。

「これじゃあ、綾瀬先輩に睨まれちゃうね」

 私は「はあ」と息を吐いた。

 また呼び出しされちゃうかな。

 私は鞄を握りしめると、歩き出した。瑞希ちゃんも私の歩調に合わせて歩き出す。

「綾瀬先輩、軽部先輩にゾッコンらしいからね。噂によると、先日の告白が最初ってわけじゃないらしいよ。何度も告白しては断られてるっていう話しだよ」

「…そうなんだ。知らなかった」

「それだけ、愛菜を愛してるんだねえ」

「違うって。軽部先輩は、陸上に恋してるんだってば」

 私は瑞希ちゃんの肩を軽くたたいた。

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