君を愛す ただ君を……Ⅱ
「本当にごめんなさい」

 私は深く腰を曲げた。

「それって、愛が謝ることか?」

 後ろから声がして、私は顔をあげた。そこには、制服姿の彩樹が壁に寄りかかってこっちを見ていた。

「彩…、どうして?」

 綾瀬先輩が、驚きの顔で彩樹を見つめた。

「何度も何度も、俺に学校で話しかけるなって念を押してくるから、何かあるとは思っていたけど。こういうことだったとは、予想外だ」

 彩樹がスタスタと歩き、私の前に立った。

「俺が勝手に愛に話しかけてるのに。話しかけられた愛を呼びだして文句を言うのはおかしくないか?」

「そ…それは」

「綾瀬、今まで陰でいろいろとマネージャの権限ってヤツを使って、他人を傷つけてきたのは知っている。俺とのいろんな噂を流してきたのも、わかってた。何も言わなかったのは、知らないからじゃない。綾瀬との仲を認めていたわけでもない。ただ、俺の生活に踏み込んでいなかったから、何も言わなかっただけだ」

「……彩」

「愛に関わるな。愛も、綾瀬に関わる必要なんてない」

 
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