君を愛す ただ君を……Ⅱ
 そっか。彩樹には、もう将来が見えてきてるんだね。

 プロになるのが夢だったから、良かったね。

 亡くなったお父さんの夢だった陸上選手に、彩樹は近づいてるんだね。凄いなあ。

「私も頑張ろうっと」

 私はぎゅっと拳を握ると、上下に振った。

 彩樹が夢に近づいてるのなら、私ももっともっと頑張って支えられる女にならないとね。

 陸上以外には、全くの無頓着な彩樹だからこそ、それ以外のことを支えられる女にならないと。

 料理の腕を磨いて、それから……。

 それから? 私はどうすればいいんだろう。

 心臓に爆弾を抱えているかもしれない身体で、私はいつまで彩樹の傍にいられるのだろうか。

 私は自室に戻ると、ドアに寄りかかって呆然と前を見つめた。

 私はいつまで……彩樹の傍にいられるのかな?
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