ひだまりの花
**
風にさらわれて舞った桜が
そこらじゅうを桃色に染める。
この春、私は
高校二年生になった。
二年生になったからと言って
何が変わるわけでもない。
いつも通り、朝早く起きる。
いつも通り、ご飯を食べる。
いつも通り、家を出る。
いつも通り、学校の門をくぐる。
教室だっていつも通り賑やか。
「…でさあ、○○がメアド教えろってすごくってぇ~」
「しつこーい!マジきもー」
「別にイケメンでもないしけど
どうせ合コンだからと思って教えたら
もー毎日メールの嵐!」
「やだあー!ストーカー!」
あ、
私の席…。
クラスの子が机に座ってる。
それを他の子が囲んでる。
「あのー…」
「だから着拒してやったの、
そしたらアドレス変えてきて!」
「あの、そこ…」
「それ超ヤバーい!」
無視じゃない。
気づいてないだけだ。きっと。
「…あのっ!」
「ねーそれ、アド変したほうが良くない?
それでも来たら…
あっ…」
ようやく気づいた。
「あの、そこ私の席だから…」
「えっ…あ…あぁ!
ごめん!あの…全然きっ気づかなくて…」
そう言ってその子たちはどこかに行った。
ふう…
空気が少し冷たい。
いろんな意味で。
私の一番いけないところは
存在感がないことかもしれない。
そっと椅子を引いて座った。
ひんやりしていて、懐かしかった。