ひだまりの花




一年生の最初の頃も、
こうしてちゃんとクラスに来ていた。


でもやっぱり、
誰にも声をかけてはもらえなかった。

私から声をかけるなんて
絶対に出来なかった。



大体、気づいてもらえないのだから
声をかけようにもかけれない。












ある日体調が悪くて遅刻した時に、




屋上に続く階段に目が留まった。






いかにも入るなというように
階段の前に机を積んで並べて、
生徒が入れないようになっていた。






静かな教室に入って注目を浴びるのも嫌だから、
机をくぐって階段を昇った。




屋上に出る扉の鍵は開いていた。
誰かが閉め忘れたのかもしれない。





バレないかな、と思って振り替えると
誰もいないし、何の音も聞こえなかった。









私はそっと扉を押した。


ギシギシと音を立てて、扉はゆっくりと開いた。








そこには、桃色の桜の絨毯が広がっていた。

風によって運ばれたり、飛ばされたりしていた。







私はその光景に目を奪われて、
しばらく立ち尽くしていた。







その日はとても晴れていて、



陽が注いで気持ちが良かった。









それからよく
こっそり屋上に行くようになって、



いつしか、
朝のホームルームが終わったら

カバンを持ったまま
屋上に直行するようになっていた。










確か、その頃からかも知れない。



クラスでは、私は
『一人が好きな子』になっていた。








自分からクラスを離れてるのだから
そう思われて当然かも。





でも、あんなところにいたって
息が苦しくなるだけだから。











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