ひだまりの花
だから今日も、
ホームルームで出席をとってから
鞄を掴んで教室を出た。
学校らしい、埃っぽい臭いと
女の子たちの香水のような匂いが混ざり合って
大変な不協和音だ。
廊下を突き進み、階段の前にある机をくぐる。
見つからないように素早く階段を昇り、
ドアノブに手をかけて一度息を小さく吐いてから思いっきり開けた。
とたんに、太陽の優しい光と桜や春の匂いに包まれた。
お日さまの香り、ってこういうことなんだ。
やっぱりこの場所が好き。
相変わらず何もなくて、
縁に座ってフェンスに寄りかかって本を読んだり
季節ごとに色を変える綺麗な景色を考え事したりすることしかないけど
ここは大切な場所。