作品集・LOVE MELODY

「俳優は諦めて…声優になったのか…」


凪人はスマホの中の弟の顔を懐かしげに見つめた。


「身内なら説得するのは簡単だね…凪人」


「いや、あいつ…頑固だからな・・・苦戦を強いられるかもしれない」


凪人は箸を止めて、考え込み始めた。


小野莉人が凪人の弟とはーーー・・・


＊　＊　＊



凪人は助っ人に私を連れて、小野莉人の仕事場に向かった。


彼は都内で雑誌『声優クラブ』のグラビアを撮影していた。

職業は声優だけど、仕事の内容はアイドルみたいな仕事もこなしていた。


控え室で私たちは小野莉人と対面した。
凪人は５年ぶりの再会。


互いに再会を喜ぶ雰囲気もなく、身内とは思えない殺伐とした感じとなった。


「兄貴の会社だから…今度は兄貴が説得に来るかなって思ってた…俺の予感は見事に的中したね」