作品集・LOVE MELODY
彼は振り返って、いきなり、私の頭を撫でた。


「お前の髪…柔らくて触り心地いいなっ」


思わず頬を染めてしまった。


私の頭を撫でる夏目さんの左手の薬指には銀色のリングは光る。
彼は既婚者…


私は人使いは荒いけど、優しさも備え持つ既婚者の夏目さんに淡い恋心を抱いていた。


レンタルする彼氏は夏目さんみたいなタイプが希望。



「おい?コピーしながらニヤけるな…桐生」


「あ、別に…ニヤけてなんか…」



「コピーが終わって…ヒマなら…企画部に来い!仕事は山ほどあるから…」


夏目さんは命令口調で言い放ち、踵を返した。


呼び止めるんじゃあなかった…


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