作品集・LOVE MELODY
私の目の前には重なり合った彼の両手が見える。


彼の左手の薬指の銀色のリングが、私に勇気をくれた。


「奥様に…悪いです・・・」


「奥様?俺は独身だけど…」


「で、でも…薬指に指輪…??」


「あ、これか…」


夏目さんは私をあっさりとハグから解放してくれた。


「昔…営業の仕事してたその名残…。既婚者に見えた方が…ハクがついて…信用されるのか…車も売れて…」


「恋人からもらったとかでもないの?」


「何…何で?桐生が気にするワケ?」


「それは・・・!?」



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