作品集・LOVE MELODY
何の前触れもなく奪われた唇…



夏目さんはキスと同時に私から離れた。



唇に付いた私の口紅を指で拭いながら、背を壁に預けて素知らぬ振りをする。



「ま、待ってください…」


「シー…声が大きいぞ…桐生」



夏目さんは唇の前に左手の人差し指を立てる。




「わ、私の…唇を…」




「…あ~っ、わかってる…ファーストキスだったんだろ?」



「わかってて・・・」



「…兄貴がお前にレンタルさせる恋人はこの俺だ…」



「ええ~っ!?」



「どうした??瑠果ちゃん」

副社長の心配の声が訊こえる。









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