作品集・LOVE MELODY
「…副社長…心配しないでください…ゴキブリが出て来て…彼女は驚いただけです」


こんな密室にゴキブリが出るなんて…あり得ない。


「そうか・・・もうすぐで来るようだ…安心してくれ。瑠果ちゃん」



「はい。ありがとうございます…副社長」



「…理性を抑える俺にも…一言くらい…礼を言えよ」



「!!?」


夏目さんが私に迫って来た。


狭い金属の空間。
私は彼と壁の間に逃げ道を失う。



「ゴキブリ…」


彼の着ているダークブラウンのスーツがゴキブリの色に見えた。



「俺がゴキブリだと言いたいの?」



「スーツの色が似てる…」



「確かに見ようによっては似てるな…」

夏目さんは苦笑した。


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