作品集・LOVE MELODY
「後はヘアメイクね…哲子さん…お任せするわ」



「はい?」


お母さんは私と哲子さんを二人にして部屋を出ていった。




一緒に暮らしてる美紅は仕事で不在。




後で詳しく訊くと結婚を約束している相手は居ないって言い出す始末。


正直な私が馬鹿を見ていた。




哲子さんはドレッサーの鏡を覗き込み、私の髪を結いあげる。




「…瑠果ちゃん…本当にいいの?」



哲子さんが黙り込む私に話しかける。




「…哲子さん・・・夏目さんって知ってる?」



「夏目?」



「夏目壮介さん。郁弥副社長は知ってるみたいなの。郁弥さんとは長年の付き合いあるし、哲子さんなら知ってるかなって思って…」


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