作品集・LOVE MELODY

契約破棄~瑠果side~

「…俺は2年前…瑠果を『星凛堂』の社長就任パーティで見かけた。瑠果は多分憶えていないと思う」



あのパーティに夏目さんも居たんだ…



「…その桜の柄が…俺の故郷を思い出させた。春になると…川の両端にある桜が満開となり、美しいピンク色に染まる。毎年…俺たち家族はその桜の木々の下で宴会を開いた。多分、それが俺にとっては一番楽しい思い出なんだ」




「・・・」



「…でも、俺の惚れた女は兄貴は憎む桐生議員の娘…中学生だった俺を社会人1年生の兄が養い、大学まで卒業させてくれた。兄貴は俺のたった一人の家族で尊敬すべき相手だ」



「夏目…さん」




「俺は瑠果を恨んでいない…逆に好きなんだ…」



「あ・・・」



互いに頬を染めて、俯く。


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