愛し君よ 永遠に
明け方の街は、どんなに荒れた街でも清楚な感じがした。明け始めた水色の空と、少しだけ冷たい空気がそんな雰囲気を漂わせている。俺が好きな時間だ。
優介は仕事を終え、駐輪場に向かった。時計の針は4:30を示している。

「このROLEXも飽きたな…」

優介はおもむろに時計を外して、近くのゴミ置き場に放り込んだ。

どうだっていいんだ、そんなもの。

金欲しさにホストをやっていた時の貢ぎ物なんだから。貢ぎ物に価値など無い。やつらは、子供が駄菓子を買うかのようにROLEX、OMEGA、高級時計を買うのだ。

スタッ。

いつもの駐輪場。いつも通り柵をヒョイと飛び越える。もう俺も28だ。残り少ない若さを確認するためにも、柵を飛び越えるのだ。

「あれ?かーくん?」

反射的に、営業スマイルで振り向いた。"かーくん"とは、ホストをしていた時のあだ名で、源氏名は"翔(カケル)"だった。2年間、誰にも呼ばれなかった名前だが、ついつい振り向いてしまったのだ。

「やっぱり、そーだ。真面目っぽくなったけど、笑顔は変わらないね。」

誰だったっけ…。
源氏名を知ってるという事は、客か同業者か…はたまた、ホールの女の子?。思い出せない。
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