月下の幻 太陽の偽り (仮)
シスターは話終わると同時に緑茶を飲み、テーブルに置いた。

シスターの話は、おいそれと信じられるような話では無かった。

悪魔だとか神様だとか、まるで眉唾物の話だ。

普通なら全く相手にしなかっただろう。

でも…アリンの話といいあの教会の話といい、あり得ない事が頻発している今となっては、そんな話も不思議とは思わなくなってしまっていた。

「私は、天使の亡骸…。」

ふとその悪魔と言っていた人物の一言を口にした。

「私は元々天使だったと言う事なんでしょうか…?」

「解りません、仮に天使だったとして、どうして悪魔が天使と一緒にいたのかも解りません。ただ…」

「ただ?」

私が話聞き手に回る時、シスターは私を見ながら話を始めた。

「神に刃向かった天使が本当に居たとしたら、経緯はどうあれ悪魔と手を組む事も考えられなくはないですね。その話自体信じられませんが…」

「そうなんですか?」

私がそう質問し、シスターは少し驚いていた。
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