月下の幻 太陽の偽り (仮)
その教会は想像していた物より少し、いやかなり小さい物だった。

見る限り住宅地の一軒家と同等かそれ以下くらいか。

打ち捨てられて三・四十年では効かないだろう。

それほどまでに寂れきり、外壁には蔓がぎっしりと張り付いていた。

「ふ、雰囲気満点だね。」

幽霊話は信じない質の私だが、森の暗さとその教会の白い外壁とのギャップに僅かながら恐怖を覚えた。

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