月下の幻 太陽の偽り （仮）
小さな違和感 大きな変化
目が覚めた。

ふと気がつくと、私が眠っていた事になっていたようだ。

それも、シスターのいたあの部屋のソファに座りながらだ。

「うわっ、私こんな所で寝てたんだ。あちゃぁ。」

きっとみっともない醜態をさらけだしてしまったかもしれないと思うと恥ずかしくて顔が赤くなった。

「最悪、早く帰ろ…って、あれ？」

言って、帰り支度をしようとし、私はようやく違和感に気がついた。

シスターがいない。

私がこんな所で眠ってしまった事で気を使わせてしまったのかもしれないと思い、しばらく部屋から出ずに待つことにした、が…

「私から出向いた方が良いのかな…」

と思い始めたのはそれから１５分が過ぎた頃だった。

私は部屋の扉を開けて廊下を見た。

「？」

廊下は少し…いやかなり暗かった。

思わず時計を見ると、午後６時半前。

この時間帯から大体太陽は沈む。

暗くなるのも仕方ない。

しかし、何がなんでも暗すぎた…。

何せあらゆる電灯が消えていたのだから…。

天井の蛍光灯が消えているならいざ知らず、非常口案内板のバックライトまで消えているのは流石に変だ。
< 124 / 127 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop