月下の幻 太陽の偽り (仮)
都会から離れた住宅地「式町」(しきまち)

山に囲まれたこの田舎の住宅地には、小さな怪奇話があった。

町外れにある中規模の森林帯の中心に隠れるように建てられている廃教会がある。

そこに夜な夜な神父の亡霊が現れると言う何処にでもありそうなちゃちな話だ。

この話は町中でも有名な話で、実際に行った人も何人もいる。

私が聞いた話では夜も遅い時間に教会に着き、気がつくと朝まで眠ってしまっていた。

…と言う情けないような話だ。

それもまた何処にでもありそうな失敗談だが、私はその話に気になる部分があった。

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